趣味の部屋(短歌)

 武内稔子

元文学少女、今、短歌に燃えています。

からす二羽わが足音に飛び立てり田植え始まる朝の散歩道 ゆらゆらと光はなちて飛び立てる蛍を両手のばし捕える つばめらは川面に姿映しつつ高く低く軽やかに飛ぶ 夏草の繁る小径に落ちていてやや青き毬につややかな実は 朝日かげうけてわが影どこまでもついてくるなり長ながと伸び もくせいの花手にとりて星眺めて語りあいたる母今は亡し 茜さす西のへの一番星暮れてゆきつつ輝きを増す 明けやらぬ野辺を飛びたち白さぎは一声鳴きてゆるゆると去る 満開の蝋梅の下に佇めば今は亡き母の香りとおもう

ここは14回生の趣味のお部屋、 ご案内役は武内稔子です。 どうぞご趣味をお持ちの方は、 いつでも、なんでもお知らせ下さい。 皆さま14回生のHPを楽しみましょう。

三種生  花材(菖蒲 ゴテチャ ナルコラン)

お正月花

墓参り終えて帰れる吾がほほにふきつけ午後を初雪が降る 満開の蝋梅の下に佇めば今は亡き母の香りとおもう 自己流よと言いて少女は店先に真っ赤なバラを七・八本活く 憧れてきし建長寺の地藏様牡丹咲く日に会えて嬉し ホロホロと山鳩の鳴く畦道を母在りし日をおもいつつ行く 盆の花活けつつそっと呼んでみる花好きだった今は亡き母 尾をたてて寄り来る太き野良猫に煮干を与う真夏の日の午後 稲刈りを終えて家路に着く時を木犀の香の甘く漂う 霜枯れの朝明水辺に白鷺の一羽の立ちて動くとはせず 未明の東の空薄紅に染まりてゆくを夫と見て立つ 日輪は白き山並を赤く染め上り来るなり穏し正月 玄関に小さき雛飾り立て一人祝うも楽し春の日

おもと

盛り花

花材  おもと

花材  竹 百合 カーネーション  松 万両

2008年の短歌

2009年の短歌

2010年の短歌

未明の東の空薄紅に染まりてゆくを夫と見て立つ 日輪は白き山並みを紅く染め上り来るなり穏し正月 玄関に小さき雛飾り立て一人祝うも楽し春の日 いち面に菜の花の咲く土手の道うらら春の日吾が歩む道 蒲公英の白き綿毛は吹かれつつ午後の空へと点になりゆく 家路を急ぐ夕べを目の前に蛍光りてゆうらりと舞う 七歳の孫のハガキの届く日ぞ弾みて待ちて夕べとなりぬ 静かなる校庭に咲きてヒマワリはなべて陽に向き今日も燃えてる 畦道に一本咲ける彼岸花燃えて赤々とさとわを飾る 夜の更けを月下美人は華やかに香りて九つ吾が前に咲く 霜枯れを日の射す庭に落ち葉掃く、影も同じリズムに動く

正月のお花

なげいれ花

花材  千両  松  百合  カーネーション  菊